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カスケードダウンとは?成功させるポイントと実践方法を解説


従業員の離職率が高い企業のなかには、「組織全体の戦略や目標が従業員にきちんと伝わっていない」「部署間やチーム間での取り組みの方向性がバラバラで、組織としての一貫性がない」などの課題をもつ企業も多いでしょう。そこで本記事では、そんな課題を解決する人事戦略のひとつとして昨今注目を浴びるカスケードダウンの実施について、成功するポイントや実践する方法について解説します。カスケードダウンとはなにか知りたい人事は、ぜひ参考にしてください。


目次[非表示]

  1. 1.なぜカスケードダウンが重要なのか
  2. 2.カスケードダウンを成功に導く4つのポイント
    1. 2.1.ポイント1:明確な目標設定
    2. 2.2.ポイント2:簡潔なメッセージ
    3. 2.3.ポイント3:具体的なアクションプラン
    4. 2.4.ポイント4:定期的なフォローアップとフィードバック
  3. 3.人事が主導するカスケードダウンの実践方法
    1. 3.1.カスケードダウンの理解を深める研修を実施する
    2. 3.2.コミュニケーションスキル強化の研修を実施する
    3. 3.3.効率的な情報伝達を支援するツールを活用する
    4. 3.4.オープンなコミュニケーションを奨励する組織文化を醸成する
  4. 4.業界別での成功事例
    1. 4.1.大手食品メーカーの事例
    2. 4.2.ITサービス業界の事例
    3. 4.3.小売業界の事例
  5. 5.カスケードダウンを機能させ、ビジネス運営をスムーズに。

なぜカスケードダウンが重要なのか


カスケードダウンとは、上層部の戦略や目標が下層部に系統的に伝達され、組織全体が一貫した方針で動くことができる仕組みのことを指します。組織の上層部で決定された戦略や方針がタイムリーに伝わることで、組織全体を一致団結させ、効率的に業務を進めることが可能になります。そのため、人事業務としてカスケードダウンを適切に実施することは、組織の統一感を醸成し、結果として組織の生産性向上に貢献します。

カスケードダウンを成功に導く4つのポイント


実際にカスケードダウンに取り組む際、成功させるためのポイントにはなにがあるのでしょうか。以下、重要な5つのポイントについて解説をします。

ポイント1:明確な目標設定

全ての従業員が何を目指すべきかという方向性を示す、明確な目標設定を行います。目標設定があいまいだと、それぞれの従業員がどのように行動すればよいのか、何を優先すべきなのか混乱してしまうため、組織全体としての効率や生産性が下がってしまう可能性があります。それを防ぐためにも、ビジョン、目標、そしてそれによる期待結果を明確に設定し、伝達することが不可欠です。

ポイント2:簡潔なメッセージ

設定した目標や関連する情報について伝達する際は、必要な点を端的に伝え、理解を容易にすることが大切です。情報が過多で詳細すぎると、従業員は混乱し、本来理解すべき重要なポイントを見失ってしまう可能性があります。そのため、必要な情報だけをシンプルかつ簡潔に伝えることが求められます。また、単に情報を伝えるだけでなく、その情報が具体的に何を意味しているのか、それにより何が期待されているのかも明確にすることが重要です。

ポイント3:具体的なアクションプラン

目標や情報の伝達後は、設定された目標に向けて、具体的に何をどのように行動すべきか、それぞれの部署、チーム、あるいは個々の従業員に対して、明確な行動指針を示すことで業務をスムーズに進めることが可能になります。また、各種業務の優先順位、目標達成に向けたマイルストーン設定なども行いましょう。これにより、組織全体が同じ方向を目指して進んでいくことができ、目標達成に向けたパフォーマンスが向上します。

ポイント4:定期的なフォローアップとフィードバック

カスケードダウンの状況は動的で、時には調整や改善が必要です。そのために、定期的なフォローアップとフィードバックが必要となります。カスケードダウンが予定通り進行しているか、適切に機能しているかの確認や、社員からのフィードバックを随時収集することで、次のアクションプランに反映していきましょう。

人事が主導するカスケードダウンの実践方法


カスケードダウンを組織内で新たに導入し、定着させるためには、以下の研修やツールなども積極的に活用しましょう。

カスケードダウンの理解を深める研修を実施する

カスケードダウンとは何か、その背後にある考え方について組織内での理解を深めつつ、上層からの情報や方針が、組織の各レベルを通じてどのように伝わっていくかの基本的な流れを学びます。さらに、この方法の採用が組織にどんな利点をもたらすのか、具体的なメリットについても浸透させ、実際の成功例や失敗例を元に、どのような要因がカスケードダウンの効果を高め、あるいは低下させるのかをグループワークやディスカッションを通じて学びます。

コミュニケーションスキル強化の研修を実施する

カスケードダウンの成功には、情報や方針を明確に、かつ効果的に伝達する技術をそれぞれが身につけておくことが欠かせません。具体的には、受け手の気持ちや反応を理解するリスニングの技術から、自らの伝えたいメッセージを誤解なく伝えるためのテクニックなど。フィードバックの受け取り方や、そしてそれをどのように活用するかが大切になります。また、異なる役職や経験を持つメンバーへの効果的なコミュニケーション方法も装着することで、組織内のスムーズな情報の流れを実現し、カスケードダウンの効果を最大化することを目指せるでしょう。

効率的な情報伝達を支援するツールを活用する

カスケードダウンの効率的な情報伝達を支援するツールは、組織のコミュニケーションを格段に向上させます。具体的には、リアルタイムでの情報共有やチーム内のディスカッションを促進する「Slack」や「Microsoft Teams」。方針やタスクの進捗を視覚的に共有し、進行状況を把握するのに役立つ「Trello」や「Asana」のようなタスク管理ツール。「Google Drive」や「Dropbox」はドキュメントやファイルを集中的に管理・共有するのに最適です。さらに、「Zoom」や「Webex」のようなビデオ会議ツールは、遠隔地のメンバーとの情報伝達や確認をスムーズに行うことができます。これらのツールを組み合わせることで、情報の伝達、確認、フィードバックのプロセスを一元化することが可能になります。

オープンなコミュニケーションを奨励する組織文化を醸成する

カスケードダウン実施時、オープンなコミュニケーションを奨励する組織文化の構築も不可欠です。経営層がオープンなコミュニケーションの価値を理解し、それを強調することで、全員が安心して意見や懸念を共有することができるでしょう。定期的な1対1の面談やチームミーティングを設定し、意見や提案が歓迎される雰囲気を作り上げることも大切です。また、失敗を許容する文化の醸成も必要です。失敗を学びの機会ととらえ、失敗から学んだことを共有するセッションを設けることで、スタッフ同士の信頼関係を深め、情報が透明かつ迅速に伝達される組織文化を築くことができます。

業界別での成功事例


以下では、カスケードダウンに成功した3つの事例を紹介します。より具体的なイメージを持ちたい方は参考にしてください。

大手食品メーカーの事例

ある大手食品メーカーでは、新商品の概念が上層部で決定された後、中間管理職層でその商品を消費者にどう訴求するかの戦略が執り行われ、最終的には実際の製品設計と生産ラインへと落とし込むフローを築いています。カスケードダウンに基づいてこのようなフローを採用したことで、各レベルで専門知識を活かし、情報を具体的な行動に落とし込みやすくなりました。

ITサービス業界の事例

あるITサービス企業では、新たなサービス開発プロジェクトで、エンジニアリングチームへの指示をカスケードダウン形式で実施。まず、企画チームから提案があり、マネージャーが全体のビジョンや目標を設定。次に各チームリーダーが具体的な施策を立案し、最終的にはエンジニアが具体的なコーディングを行います。これにより、各レベルでの思考と調整が行われ、サービスのクオリティが確保されました。

小売業界の事例

季節の商品展開計画を立てる際に、はじめに本部で季節商品のラインナップが決まり、地域のマネージャーが地域特性を考慮した展開計画を立案。最後に各店舗がそれぞれの店舗環境に合わせた具体的なプランを作り、顧客に最適なショッピング体験を提供します。これもまた、各レベルでの思考と調整が活かされた事例といえます。

カスケードダウンを機能させ、ビジネス運営をスムーズに。


本記事で紹介したカスケードダウンがうまく機能すると、企業全体として統一感を保ちつつも、各階層ごとに具体的な戦略やアクションプランをしっかりと立案・実行することが可能になります。また、全体のビジョンに従いつつも、各フェーズ、地域、チームごとの特性を十分に活かすことができます。カスケードダウンに成功させるためには、情報の透明性と各階層での思考時間の確保が欠かせませんが、これらを意識しつつ、よりスムーズなビジネス運営を実現してください。


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VALUE WORKS編集部
VALUE WORKS編集部
採用を支援するコンテンツ制作を手がける編集プロダクションです。「価値のあるコンテンツで、仕事の価値を伝える」そんな想いで、あらゆる企業のインタビュー記事などを制作しています。採用広報を強化したい企業のご担当者さまはぜひご相談ください。