ジョブクラフティングの実践方法とは?人事が知るべき効果とメリット
近年、ビジネス場面で人材開発の新たなアプローチとして注目されているジョブクラフティング。本記事では、ジョブクラフティングの魅力について掘り下げ、現代のビジネスでの役割について解説します。
目次[非表示]
- 1.ジョブクラフティングとは
- 2.ジョブクラフティング実践で得られる5つのメリット
- 2.1.メリット1:自己効力感の強化
- 2.2.メリット2:生産性の向上
- 2.3.メリット3:組織への貢献
- 2.4.メリット4:職場満足度の向上
- 2.5.メリット5:ストレス軽減
- 3.ジョブクラフティングの実践方法
- 3.1.ステップ1:スキルや興味、価値観の整理
- 3.2.ステップ2:仕事の目的や役割の再定義
- 3.3.ステップ3:目標設定と新しいプロジェクトや役割の提案
- 3.4.ステップ4: コミュニケーションの方法や頻度の見直し
- 3.5.ステップ5:メンターやサポートネットワークの構築
- 3.6.ステップ6:ポジティブなマインドセットの育成
- 4.ジョブクラフティングの業界別成功事例
- 4.1.事例1:ヘルスケア業界
- 4.2.事例2:IT業界
- 4.3.事例3:小売業界
- 5.従業員の意識を変え、働きがいのある会社づくりへ
ジョブクラフティングとは
ジョブクラフティングとは、従業員自身が自分の職務内容や環境を自主的に作り上げる行為のことを指します。自身の働き方を自主的に決定できることで、仕事に対するエンゲージメントが増し、業績へと結びつくなど、従業員が自己効果感や満足度を高めることで、潜在能力を最大限に引き出せるような職場環境を作り上げるものとして近年注目されています。また、ダイバーシティや働き方改革の観点からも、一人ひとりの働き方を自身でデザインできるという意味で大きな可能性を秘めているとされています。
ジョブクラフティング実践で得られる5つのメリット
では、ジョブクラフティングを実践することで、具体的に企業はどんなメリットを得られるのでしょうか。代表的な5つのメリットについてみていきましょう。
メリット1:自己効力感の強化
ジョブクラフティングにより、従業員は自身が持つ能力や困難に立ち向かう自己効力感を強化することができます。自己の仕事内容や状況を自分自身で調整できる能力を持つことで、この自己効力感は大幅に高めることができ、仕事への取組みや困難に立ち向かうパワーが増すとともに、自己成長の促進やスキルアップも期待できます。
メリット2:生産性の向上
自分の才能や能力を最大限に活用できるため、生産性の向上にもつながります。自分自身の適性に合わせたタスクを遂行することで、無駄が省かれ、より効率的かつ質の高い仕事を行えるようになるでしょう。
メリット3:組織への貢献
個々の生産性向上は、組織全体のパフォーマンス向上にもつながり、組織への大きな貢献となります。また、自己の能力や才能を最大限に活用することで、組織への貢献度も高めることが可能になります。
メリット4:職場満足度の向上
仕事の自己調整を通じて、自分自身がどのように働けば満足できるかという事を具体的に考える機会が増えます。これにより、職場での満足度やキャリアアップに向けた目標などが定めやすくなります。また、自身が価値観に合致した働き方をすることで、課題に対する達成感も増大します。
メリット5:ストレス軽減
業務環境やタスク内容を自分自身で調整することで、自身にとってストレスとなる要因を避けることが可能となります。ストレスの原因が減ることで、メンタルヘルスの保持や、ワークライフバランスの改善も実現できます。
ジョブクラフティングの実践方法
では、実際に企業がジョブクラフティングを実践するためには、どんなことに取り組んだらよいのでしょうか?具体的な4つのステップについて紹介します。
ステップ1:スキルや興味、価値観の整理
自身のスキルや興味、価値観について丁寧に整理をしていきましょう。自分自身の得意なスキル、興味を持っている分野、大切にしている価値観をリストアップします。これによって自分の強みや熱意を持っている領域を明確に理解することができます。また、他者からの視点も大切です。同僚や上司、部下からのフィードバックを求め、自分の見落としているスキルや強みを発見します。スキルや興味について自身でハッキリとわからない場合は、その日の活動や出来事について何が良かったのか、何に興味を持ったのかを振り返るとヒントを得られるでしょう。
ステップ2:仕事の目的や役割の再定義
つぎに、仕事について自身がもつ価値観や目標を明らかにします。自分が担当しているタスクやプロジェクトの中で、どれが自分の価値観や興味と合致しているかを確認し、それに基づいて仕事の意義を再定義しましょう。例えば、単なる「レポートを作成する」というタスクも、それがチームの成功にどのように寄与するのか、大きな意義を持つものとして捉え直すことができます。その際に、自らの役割を固定的に捉えるのではなく、柔軟に捉え直すことが大切です。自分の役割を再解釈し、新しい視点やアプローチで取り組むことができないかを考えてみましょう。
ステップ3:目標設定と新しいプロジェクトや役割の提案
自分の興味やスキル、価値観に基づき、短期・中期・長期の目標を設定します。これにより、日々の業務においても方向性を持って取り組むことができ、モチベーションの維持にも繋がります。また、自らの興味やスキルに基づいて、新しいプロジェクトの提案や実施を行います。そこで注意しなければいけないのは、ただ業務量を増やすのではなく、効率的な仕事の進行を目指すこと。不必要なタスクや重複している業務を削減・合理化し、より集中的に、主要な業務に取り組める環境をつくりましょう。
ステップ4: コミュニケーションの方法や頻度の見直し
使用するチャットツール、ビデオ会議ツールなど、コミュニケーションツールやプラットフォームを適切に選択し、効率的な情報共有や意見交換を促進します。また、定期的なミーティングを設けることで、チーム内の情報共有や課題解決をスムーズに行い、必要に応じて、ミーティングの内容や頻度、参加者を見直すことも重要です。ポジティブなフィードバックだけでなく、構築的な批判や提案も受け入れる文化を作り上げることで、更なる改善や成長を促しましょう。
ステップ5:メンターやサポートネットワークの構築
経験豊富な上級者や専門家と、新人やキャリア初期の従業員とをペアリングし、知識やスキルの伝承、キャリアの指南を行います。また、職場内外のネットワークやコミュニティを利用して、情報交換や相談を行う場を持つことで、様々な課題や悩みに対する支援も受けられるようにします。同僚同士でのサポートや相談の場を設けることも大切で、仕事上の問題やプレッシャーを共有し、共同で解決策を考え出すことができるようになります。
ステップ6:ポジティブなマインドセットの育成
自分自身に対する言葉の選び方や考え方を意識的にポジティブなものにすることで、自分の能力や価値を再認識し、自己評価を上げることができます。また。過去の成功体験や達成したことを定期的に振り返り、自分に対する自信を増やしていきましょう。さらに、日常の中で感謝できることを見つけ、それを意識的に感じることで、ポジティブな気持ちやモチベーションを保つことができます。
ジョブクラフティングの業界別成功事例
以下では、ジョブクラフティングを実践した3つの成功事例を紹介していきます。
事例1:ヘルスケア業界
ある高齢者施設の職員は、自分たちの仕事をただの「世話」から「生活の質の向上」へと再定義しました。これは戦略的なジョブクラフティングの一例で、職員自身が直面する課題解決に向けた役割や職務を再構築。結果として、施設全体のサービス品質が向上し、職員の満足度と組織への誇りも高まりました。
事例2:IT業界
新たな技術の導入に伴い、あるIT企業でのエンジニアは自分たちの仕事を「開発」から「問題解決」に変えました。これにより、自身が置かれた状況に対する主体性とクリエイティビティが生まれ、新たなアイデアやソリューションの創出につながりました。また、顧客の期待に応えるために、自らの役割を広げ、チーム全体の生産性向上にも貢献できました。
事例3:小売業界
あるスーパーマーケットの従業員が、自分たちの仕事を「製品の陳列」から「顧客体験の向上」へと変化させました。商品の並べ方を工夫し、買い物を楽しめる環境作りを行うことで、顧客満足度が上昇し、結果的に売上も伸びました。その一方で、従業員自身も、創造性を発揮し、新たな挑戦を通じて成長する機会を得ることができました。
従業員の意識を変え、働きがいのある会社づくりへ
ジョブクラフティングは、従業員のモチベーション、創造性、満足度の向上に大いに効果が期待できるため、さまざまな業界や職種で効果を発揮し、組織全体のパフォーマンス向上に繋げることができるでしょう。従業員の離職や、組織全体の改善に悩む人事は、この機会にぜひジョブクラフティングを試してみてはいかがでしょうか。
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